リアルタイム性の問題とは
リアルタイム性の問題を解決するにあたり、キーポイントとなるのが通信の遅延です。特に、クラウドコンピューティングでは通信で情報をやり取りする必要があるため、必ず一定の遅延が発生します。これは、リアルタイム性が求められる現場では大きな問題です。
例えば、自動運転でクラウドとの行き来で1秒の遅延が発生するとします。そして、クラウドを介して制御される自動運転車が時速30kmで走行しているとしましょう。車の前に障害物が飛び出してきた場合、センサーがそれを検知してクラウドに送信・処理し、車に緊急停止指示をフィードバックします。しかし、車はその時点ですでに16m以上走行していることになります。そこにブレーキまでの距離が加わるとなると事故を避けることはできないでしょう。
遅延の問題は同期性が確保できないことにあります。通信の遅延は常に決まった時間に発生するわけではありません。情報のやり取りをする時間が受信側によって異なるため、各受信機が同期して動作することが難しくなります。5Gでも対応が難しいため、通信を利用するクラウドではなく、エッジで処理を行うように求められています。
コストの問題とは
クラウドであらゆる情報を収集し、それを整理するとなると、不要なデータの収集や保管に多くの時間とコストがかかることになります。IoTでは、対象であった人間の作業に加え、機械が自動的に生成する膨大な量の情報を収集することになります。しかし、データは利用意図などに応じてすり合わせを行わなければ、活用することができません。活用できないデータはすべてムダになってしまいますが、クラウドコンピューティングではそのようなデータも収集するために通信費や保管費がかかってしまうのです。しかし、エッジで必要なデータを選択・収集し、不要なデータを除外すれば、これらのコストを削減することができます。
データセキュリティを考える上での問題
スマート工場化が進む今、データを個人で管理することが必ずしも安全とは言えません。製造業などデータを社外に出したくないという企業もあります。そのような場合、クラウドでデータを収集・処理することは難しいので、エッジで処理する必要があります。エッジで情報処理を行う機能を搭載しデータを外部に公開できる形に変換できれば、クラウドで集約することも可能です。